【−6】トンネル
<文章> −3 <体験> −3 <得点> −6
2点問題がある。
まず、トンネル内で水が落ちてくる、というのはそう不思議なことではない。今まで出会った
ことはないけれどそれが雨のように落ちてくるところがないとは言えない。元々トンネルと水、
というのは大変相性の高いものであるだけに(トンネル掘削は水との戦いであることも多い)
そこで騒がれる方がむしろ違和感がある。
また、このカップルは心霊スポット探索としてこのトンネルに行き、何度も出入りしている。
とすると、語り手の方も相当周囲には気を払って気にしていた、と考えられる。
なのに、彼女だけが気付き、雨には気付いた語り手がその異常さに気が付かない。彼は一体
何を見ていたのだろうか。
しかもわざわざこういったところまで来るような彼女がそれを知って騒ぐでもなくむしろ
黙ってやり過ごしてしまう。
この怪異自体些細なもので黙り込んでしまう程深刻なものではない。やっと見つけた怪異なのに
なぜそれをその場で言わないのだろう。
最後の段はいざ現実に見てしまうと‥‥ということで説明が付かないこともないけれど、既に
相当に胡散臭さが募っているところなので、合わせ技一本として指摘しておく。ここまで
いい加減な話のここだけリアリティがある、というのも逆に変な話だし。