【+6】境涯


 <文章>  +3  <体験>  +3   <得点>  +6


 ようやく最後の作品だ。


 最後の最後にこうした作品が届くとは。
 これまで評点13段階中唯一使っておらず気になっていた最高点を、有終の美を飾る意味でも
是非進呈したいと思う。使えて良かった。


 本来的にはこうした読み応えのある作品は大歓迎なので、心ゆくまで堪能させていただき
二読三読しさらに玩味した。
 この作品に何か批判めいたものを付け加えるとしたら「得に」位しか思い付かない。
 予め語っておくこと、敢えて伏せ後に明らかにすることで話を展開させていくものの取捨選択も
見事で、余韻のあるでも怖ろしいものをいろいろと想像したくなってしまう結末までほぼ
崩れることのない緊張感と品格に溢れた比類のない文章であり圧倒される。
 お盆とは本来こういうものかもしれないな、と日本の民俗歴史にまで思いが拡がったり
火が消えるだけで無く、何かの合図か印がないと本当は入ってはいけなかったのだろうか、とか
さまざまな思いは湧いてくるけれど、それをいちいち紹介するには及ばないだろう。


 この作品が最後の発表作品である、ということ自体が今大会最大の怪異であると思う、正直な話。