【−2】ありがとう
<文章> 0 <体験> −2 <得点> −2
情感のある文章・内容で嫌いではない。
しかし、単なる偶然、を否定できないのも事実である。事実だけ言えば猫を見かけてそれを
追っていったら動物慰霊碑に着いた、というだけの話であってそこに不思議なことは全く無い。
動物園にいる猫なら虐められることはまずないだろうから人に慣れていても自然である。
猫にとって広場は日向ぼっこに最適だろうし、そこでいつも餌をもらったりしてる可能性も
充分にある。
その猫の柄が女性の愛猫と同じだった、というところから連想もしくは妄想が一気に膨らんで
いったわけである。
その柄にしても特別珍しいものではなく時折は見かける。
これを偶然で片付けさせないためにはもう少しそれを関連付ける要素がないと思い込みを
超えることは出来ない。
体験者は趣味の写真を楽しんでいるようで、彼女との思い出から抜け出せず日々の暮らしも
ままならない、といった状況ではなさそうだ。
特に何かの記念日や思い出の地を思わせる表現もない。
亡くなってからしばらくは経っていると思われるこの時点で突然に、しかも自らではなく
猫を登場させてメッセージを伝えたかった理由は何なのだろう。
そこまでしたわりにはメッセージも抽象的でありきたり過ぎないか。
やはり怪談を体験者の主観だけで語っていくのは無理があるように思える。