【0】後悔


 <文章> −1  <体験> +1   <得点> 0


 一日3作品しか読めないし講評も出来ない、というのは何だか寂しい気も‥‥。
 溜まるとそれはそれできつかったりもするけれど。


 導入部は先の話の予想もつかずなかなかうまく興味を引っ張ってくれる。
 途中の展開もそれを裏切らない。簡潔な説明でさらに期待を増幅させる。まだ
怪異であるかどうかは不明ながら。
 で、クライマックスの怪を書く段になって急速にトーンダウンしてしまった。
 一番大事な異形の形容など、投げやりな印象すら受けてしまう。


 最後だけ現象が全く異なっているのは何故なのだろう。それまでは自販機の
「前に」缶が置かれていたのに、今回は普通に出てきている。霊もちょっと姿を
見せるだけで缶を持って出てはこない。人がいたのでそれ以上の行動を止めたの
だろうか。何とも控え目な霊だ。
 最後の文章に至るまで、缶の予想を楽しんだことは詳細に書いてあっても、
ここの飲料を飲んだ、という記述は全く無い。唐突過ぎる。
 会話文の中で「通勤時に」というような会話では普通使わない言い回しが
入っているのも不自然。怪談の場合会話を活かすのはそれなりに意味のある
行為なのだから、その場合には出来る限り会話であることの魅力を発揮できるよう
意を傾けねばならない。それが面倒なのなら無理に会話文にすべきではない。