【+1】掛け布団


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 霊が目の前で物体を持っていってしまう、という意外と見聞しない貴重な症例、じゃない
現象である。老人の流石に人間離れした行動ともにインパクトは強い。そのあたりの描写には
もう一工夫欲しいところではあるが。
 オチの文章はなかなか良い。
 病院ものでは霊のお呼びは不吉な結果を招くものが多い中、ほっとした気分にさせられるし
それだけこの現象の不条理感が強まってくる。話全体から感じられる、ギャグまではいかない
コミカルな雰囲気と結末もマッチしている。


 若干気になるのは掛け布団が無くなる、という異常事態に対し看護師が夢、としか対応して
いないこと。まあ、これは知っていながら知らないふりをしていた可能性もあるし、その方が
怖さはいや増すけれど。