【+4】袖引き


 <文章> +2  <体験> +2   <得点> +4


 見事に素敵な最悪の話である。


 語り口もうまく、相当に長い話なのにそれを感じさせない。内容があって長い話は
歓迎、というのもあるけれど。
 しかも題名がどこにも絡まないまま主要部分が終わってしまったか、と思えるところで
その意味が明らかにされ、それがすっぽりオチへと嵌っていく。構成も素晴らしい。


 ただ、ちゃんと怪に絡む話も二回登場してはいるものの、やはりこの家族に圧倒的な
ネタパワーを感じてしまうため、総体の印象が怪談というよりは東京伝説のようになって
しまう。
 個人的にはかなり好きな作品なんだけど、この場は怪談を評価する場、ということで
少し厳しめにさせてもらっておく。「饐えた(もしくはすえた)」にも注意。