【0】守備範囲


 <文章> 0  <体験> 0  <得点> 0


 この話も怪異がテーマではない。なので怪談として評価することが難しい。


 しかも、この話は既に「守備範囲」、というレベルではない。
 おばあさんを「子」と言ったり小学生を「女」と言ってるのだとしたら、それは
単に周りの人をおちょくっているだけのことである。
 美人かどうか、という点ではなく、人の想像力を逆手に取ったような表現をとって
いるからだ。


 ずれてしまった話の核となる山下君の人物設定の部分にさらに明らかな誤りが
あるため、そちらから見ても共感を持てない。わざとそう捉えているのだとしたら
不快にすら感じられる。
 それは件の女性の話でもそう。
 顔の半分が崩れた女性を美人だと言い張り向きになって抗弁しているのが本心から
だとしたら、それはもう彼には世界が何か別のものに見えてしまっているとしか
捉えようがない。笑うと言うより空恐ろしい。
 要はスプラッター映画を見せられながら「これって笑えるだろ」とげらげら
笑いながら言われている、そんな居心地の悪さしかこの作品からは感じられない。


 ただ、文章はしっかりしているし、多分に個人的な感性レベルでの拒否と言える
ものなので評価をマイナスにはしないでおく。