【0】家族の食卓


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 アダムズファミリーを一瞬想像してしまった。
 これは相当嫌な光景であるのは間違いない。ただ、霊の方がお辞儀をしたりして
妙に低姿勢なこともあって、恐怖を意識させるところがほとんどない。
 この話、最初はどこかの家族が来ていると思ったら生きている人ではないと判った、
という話にするのか、そこに人ではない4人家族が座っていたのに妻が気付いていない、
という話なのかそこで焦点が定まらず曖昧にしてしまったために印象もぼやけて
しまったのではないか。
 いる筈のない4人家族、というところでインパクトが既にあるのだからそれが
さらにとんでもない姿で、とすればその気味悪さとそれに気付かぬ妻の無垢さとが
うまく対比されたであろうし、逆にしたならお客さんかと思っていたら否こいつら
生きてないよ、という語り手の驚きを軸に話がまとめられただろう。
 現状の表現はどっちつかずなので、最初からもうこいつら人じゃなさそうだと
判ってしまっていながら人のような振る舞いをし、一方で口の周りからは血を
流している。読み手の印象が行ったり来たりしてしまう。


 個人的には嫌いじゃない作品なんだけど。この家族の間の抜けた感じが何とも。
 ちょっと「怪奇大家族」風な感じ。